Les Capriared (レ カプリアード)

Les Capriared (レ カプリアード)
生産者 パスカル ポテール / モーズ ガドゥッシュ

 パスカル(醸造担当)とモーズ(経営担当)2人でやっているワイナリーで、自分が5ヶ月お世話になった場所です。

 パスカルはいつもワインの事を考えていて、収穫前に趣味のキノコ狩りへ連れていってもらった時にも、
『まだキノコないな、最近雨降ってないからな。。。だが収穫前に雨降らないのは葡萄には最高だ!さ、帰ろうか。』
そして、その帰り道、野生のリンゴ木を発見。自分は赤くて甘そうなリンゴを、でパスカルは少し黄色いリンゴを食べていて、
『んーこの酸味と甘味のバランスがいいなー。こういうワインを作るのが理想だ!赤いのは自分には糖が強すぎる。』
という感じで、全部ワインに繋がるんだなーと、いつもなるほどなと思わされます。 
 毎晩ご飯の前に
パスカル『亮太、今日は何が飲みたい?』
自分  『もちろんペティアン飲みたいです!』
パスカル『解った、デゴルジュマン(澱引き)してくるから待っていなさい。』
この会話は自分とって至福の時間です。そして数えきれないくらい毎晩飲みました。
ペティアンについて色々な話を聞かせてもらうんですが、その度にパスカルのペティアンナチュールに対する姿勢や愛情を感じる事が出来ました。
(デゴルジュマン参考動画 http://www.youtube.com/watch?v=WFFNZAfh8-Q )

 モーズはいつも電卓たたいて黙々と仕事をしています。ですが収穫時では、シャキッとヴァンダンジャーの指揮をとり、瓶の箱詰め作業の早さも半端ではないです。自分にとっては頼れる兄貴みたいな感じで、フランス語が話せず上手くコミュニケーションがとれないな、、、と思っていた冬の近づく時期に、『好きに使え。』と急にビニール袋一杯に冬服を持ってきてくれてくれたり、仕事履きしか持ってきてなかった自分に『試飲会とか休みの日はこれを履け』と靴をくれたり、年末には『海が綺麗なブルターニュ行くぞ!スケッチに最適だ!』と3泊4日の旅行につれて行ってくれたり。。。。言葉の壁は今も厚いですが、色々世話をしてくれます。

 この2人は、自分の制作にも色々チャンンスを与えてくれました。
パスカルは、やたらとスケッチをしまくっていた自分を見て、ここへ来てまだ間もないのに試飲会『Les Vins de Coin』 での展示を提案してくれて、モーズは、樽に何か絵を描けないか?と自分に頼んでくれて(で勝手に彫りました)、ただの研修生としてではなくアーティストとして沢山の生産者と繋がらせてくれました。

 そして、レカプリアードを離れる日が近づいてきたある日、インポーターさん訪問時に一緒に試飲させてもらいました。その時、幸運な事にモーズが間違えて2008年(パスカルのお孫さんが生まれた年)のペティアンブロン(泡白)を持ってきてくれました。パスカルはいつも『ペティアンブロンは何年も熟成させることで酸味と甘味のバランスが変化して面白いんだ、なるべく長く寝かせたてリリースしたいんだ』と言っていて、この5年熟成されたワインを飲んだ時に、パスカルが理想とするペティアンを少し理解出来たような気がして、初めてワインを飲んでゾクゾクと鳥肌がたって泣きそうになった。

 ここを移動する日の午前中、自分は部屋の掃除をしたかったのですが、試飲会で沢山注文がきたため、デゴルジュマン(澱引き)をやらなくてはいけなくりました。デゴルジュマン時の自分の仕事は、パスカルがデゴルジュマンした瓶に栓をし、大きなケースに入れる事なんですが。時間もなく本数も多かった為、途中から
『亮太!デコルジュマンやるんだ!』っと言われ、パスカルと自分の2人体制でデゴルジュマンをして、モーズが栓をするという不思議な光景になりました。たまに体験的にやらせてもらってたデゴルジュマンを、今回は少しですが仕事ととして任せてくれて、自分にとっては伝説の日になりました。